専門はメディア論、メディア技術史、文化社会学。メディアの技術的な成り立ちを踏まえて、これからのあり方を構想することに関心があり、歴史的な分析と実践的な活動の両方に取り組んでいます。近年は、テレビジョンやモバイルメディアの技術史、放送局や通信事業者と連携した社会実験やワークショップ事業などを展開。今年、立命館に着任したばかりですので、ゼミの1期生を募ることになります。
【専門演習の目標】
情報技術の社会的構築という観点から、メディア社会を読み解きます。情報技術の発展とともに展開してきたメディア論、情報社会論の系譜を学び、〈理論〉と〈現実〉、〈歴史〉と〈現在〉を往復する思考を鍛えます。
2年にわたる研究活動を通じて、みずから問題を発見し、解決する能力を身につけます。また、発表/ディスカッションを通じて、自分の考えを他者に伝え、互いの意見を交換・共有することで、さらに理解を深めていくことを目標とします。
【専門演習で扱う課題と内容】
「新しい◯◯が△△を変える」という言い回しが、世の中には色々とあります。たとえば、Twitterが政治を変える、Facebookが就活を変える、デジタル教科書が教育を変えるなど、枚挙にいとまがありません。もっとも、新しいメディアの「新しさ」を深く追究しようと思えば、結局のところ、古いメディアとの比較を避けて通ることは難しいでしょう。
このゼミでは、新しいメディアをめぐる様々な現象を取り上げ、その解釈や分析を試みますが、同時に、いま起こっていることを近視眼的に捉えるのではなく、過去の事例から学び(=メディア史)、現在に活かす学問的方法(=メディア論)を身につけます。情報技術が社会のなかでどのように位置づけられ、メディアとしての様態が見出されていったのか、その成り立ちを根源的に問い直したうえで、現状の課題や今後の展望を考察します。
課題文献の輪読、グループによる調査研究を経て、最終的には個人単位で、各自の経験や関心にもとづいた問題意識をはぐくみます。そして研究対象を具体的に見出し、独自の調査を踏まえた分析をおこないます。具体的なテーマは、マスメディアや文化産業の動向に関する研究から、インターネットやケータイ、ソーシャルメディアなどに焦点を当てた研究まで、幅広く設定することが可能です。
【授業の進め方】
おおよそ以下のスケジュールで進めますが、ゼミ生のみなさんの意欲や関心に応じて、ワークショップやフィールドスタディ、他大学との研究交流など、アクティブな学びの場を創っていく予定です。みなさんからの企画提案も歓迎します。
- 3回生前期/文献を探究する:メディア論や情報社会論に関する基礎的な文献の輪読。個人発表とディスカッションを中心にゼミを進行します。また、震災復興におけるソーシャルメディアの有効性など、社会的関心の高いテーマについて、(最新状況を踏まえることはもちろんですが)輪読で学んだ知見を補助線に議論します。
- 3回生後期/グループ研究:グループごとに研究テーマを設定し、独自の調査や分析を実施します。文献を読んでまとめるだけではなく、研究対象に対して多角的なアプローチを試みます。
- 4回生前期/個人研究:各自で研究テーマを設定し、文献研究のみならず、独自の調査や分析を実施します。併行して卒業論文の計画を立て、執筆に着手します。研究は個人単位になりますが、就職活動に関する情報交換などの機会を設け、ゼミ内の交流を深めたいと思います。
- 4回生後期/卒業論文の作成:個人発表とディスカッションを中心にゼミを進行します。論文の完成度を高めるために、建設的かつ互助的な議論をおこないます。
【必要とする知識】
メディア論に関する基礎的な知識が備わっていること。社会の出来事に関心を持ち、本、雑誌、新聞、テレビ、インターネットなどを駆使して、日々の情報収集をいとわない態度を持つこと。
【関連する分野・科目・知識】
メディアに関連する科目をなるべく幅広く受講してください。
【受講生に望むこと】
なるべくガイダンスに出席してください。メディアの理論や歴史を学びたい人はもちろんですが、市民メディアやインターネットを活用した実践的な活動に関心がある人の参加も歓迎します。メディアの自明性を揺さぶる理論的/歴史的な知見は、制作や実践の現場で必ず活きるはずです。
0 件のコメント:
コメントを投稿