10月11日(土)、4回生の桑山先輩のお誘いにより、3回生堀井さんと3人で石川県金沢市の湯涌で行われる「ぼんぼり祭り」に参加し、聖地巡礼のフィールドワークをおこないました。
桑山先輩と堀井さんが研究テーマに掲げている「聖地巡礼」とは、映画やアニメ、漫画の舞台やモデルとなった土地を訪ねることです。今回私たちが聖地巡礼として訪れたのは、P.A.WORKSさんが制作されたアニメ『花咲くいろは』の舞台となった金沢市の湯涌です。
『花咲くいろは』とは、借金をつくった恋人と夜逃げした母のもとを離れ、祖母が経営する喜翆荘で、仲居見習いとして働きながらお世話になることになった主人公・松前緒花が、様々な経験をしながら成長していく姿を描いた物語です。そして「ぼんぼり祭り」は、アニメ放送の最終回で主人公たちが参加するお祭りであり、これは本来、湯涌では行われていない架空のお祭りでした。しかし湯涌では、アニメをきっかけとして「ぼんぼり祭り」を本当に開催するという、予想外の動きがありました。これは非常に革新的で興味深い事例です。
私たちは初めての参加ということで、前日に下見を兼ねて湯涌を訪ねました。まだ巡礼者がほとんどいなかったこともあり、とても落ち着きのある自然豊かなところで、アニメを知らずとも観光地として満足できるような空間を持っている、という印象を受けました。この日はアニメの風景と比較をしながら、旅館秀峰閣さん・湯涌稲荷神社・玉泉湖などを巡り、ありのままの湯涌を味わいました。
ぼんぼり祭り当日。私がここで得た最も大きいものは、人とのつながりでした。湯涌に向かうバスの中で、翌週のゼミにゲストスピーカーとして来てくださる予定だった女装家のあしやまひろこさんと偶然お会いし、また、『花咲くいろは』を観て人生観が変わったという方などとも交流しました。そしてそのバスでの会話を聞いていた、と声をかけてくださった聖地巡礼研究をする大学生さん。橋の上で出会った、聖地巡礼犬として知られる柴犬ちょこちゃんと飼い主のかずさん。かずさんには、聖地巡礼の経験が豊富な方々を多く紹介していただき、非常にためになるお話を聴かせていただくことができました。
快くインタビューに答えてくださったファンの方々もみな親切で、人の暖かさはもちろん、こうした聖地特有のコミュニティというものを強く感じました。こんなにも個性豊かな方々とつながりができたというのは、本当に予想外のことで、フィールドワークならではの財産です。
ぼんぼり祭りの参加形態もさまざまで、
- 物販開始時まで並んで、グッズを購入したら帰る
- ステージよりも祭りや聖地そのものを見ることを重視する
- アニメは知らないが声優のステージなどを見に行く
- コスプレをして練り歩く、写真撮影をする
- 何度も来ているので特に目的はないが、聖地巡礼関係の友人に会うために行く
- アニメや聖地のことは全くわからないが、近いので見に行く
今年は声優等のステージが金沢大学で行われていたため、夕方まではあまり人がいませんでした。インタビューを行いつつ屋台を満喫し、私たちはぼんぼり祭りの最後に行われる、のぞみ札のお焚き上げも見ることができました。アニメの情景がリアルに再現されるとともに儀式としての神聖な空気が醸し出されており、神秘的でした。
インタビューの回答者で、とても心に残る一言をくださった方がいました。
「特に普段連絡を取り合うようなことはないけれど、毎年ぼんぼり祭りに来るとみんなに会えるので、同窓会のような気持ちで来ている。」
現実のぼんぼり祭りは、ただのアニメの模倣ではなかったように私は感じています。アニメと関係なく一度来ればリピーターになるな、と納得するほどの地域が持つ本来の力と、ファンによって作られた独特のコミュニティが創り出した、すばらしいイベントでした!
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